方位の利用
方位というと大概の人は、良いか悪いか、つまりその方位が吉方か凶方かだけで、その方位の内容(食べ物なら、高いか安いか、新しいか古いか、美味か不味いかなど)と、同じ方位でも、年、月、日、時(二時間単位)、それぞれ方位によって力の差があることをあまり考えようとしません。
「力の差」とは、いつ頃から、どのぐらいの強さで、どれだけの期間その影響を受けるかということです。不動産を買うときや移転のような大事の場合と、旅行や買い物(高価な物でも)といった小事の方位を同列で考えるべきではなく、年月日時の何れを使うか、あるいはどの組み合わせが適当かを考えなければなりません。移転などの大事には年の方位と月の方位が共に吉、小事の場合は月の方位だけが吉であれば、日や時の方位は無視しても差し支えありません。時間の方位は水汲み(水取り・祐気)などの特種な場合に使用しますが、日常の行動なら日の方位で十分、時間まで考える必要はありません。
旅行や自動車の購入に方位を尋ねる人がいます。旅行が長期で一カ所を拠点にする場合は別ですが、短期間や長期でも日本一周というような宿泊場所が一定でない場合の方位は、気にするだけ損といえます。家族揃っての旅行にまで年・月・日の方位を気にしたら、十年待っても行けるかどうか、時間も考えれば多分百年待ってもチャンスは来ないでしょう。
自動車の購入は事故を心配して方位を気にするのですが、事故は自動車が勝手に起こすのではなく、運転手が起こすのですから、この場合の方位は関係ありません。ただ、凶方で購入した物は思ったほど役に立たないか、中古車の場合は故障が多いということはあり得ます。
立地の大事な店舗の場合でも、北が吉方だからといって観光地でもない山の中で喫茶店を開いても、多分うまく行かないはずです。また、安価な品を売るのに、例え六白方位が吉方でも繁盛するとは思えません。なぜかと云うと六白には高級という象意があるからです。
吉凶は動より生じるの理があるように、自分が動くときは吉凶が主で内容は従になりますが、それ以外の場合、例えば縁談や商談の申し込み、雇用や融資の依頼など、こちらが受け身の場合は「方位の内容」が主で吉凶は従になります。つまり先方方位の内容によって、相手の信用状態と普段の取引状態や家庭環境、思想信条及び適性などを前以て推測するためです。暗剣・五黄の両殺方を除けば、たとえ先方が凶方でも嫌う必要はなく、たとえ吉方でも安易な受諾は危険です。
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