家相とは ”現代日本の家相学” 祥氣舎より発売中
[家相(鬼門)Q&A] [家相(宅地相)Q&A] [家相(間取り)Q&A]
家相とは家の形なりに、その中に充満している五感に触れない「気」の作用をいいます。「気」は吉凶の別なくそこに住む人の思想と肉体に対して休むことなく働きかけるとともに、一家の盛衰と家族の健康に多大な影響を与えるという作用を有します。従って、鬼門の重視や暦に見られる家相図のように観念的な吉凶を大事にする間取り中心主義、色を大事にする風水?、その他ドアの開閉方向、和室は何畳になどというのは、「気の作用」とは全く関係のない事柄です。しかし、現状はこのような考え方を肯定する人が圧倒的多数を占めているようですから、私も宗旨変えした方が商売繁盛となるかも・・・・・・・
家相は中国人の生活の知恵であるという人もいますが、大陸と気候風土の異なる島国の日本で通用するとは考えられないことです。また、ある有名な建築家が著わした本に、居間や台所などの位置と季節の風向きや日当たりなどの関係を調べて、「これは科学的に証明されるがこちらはいくら考えても分からない。多分荒唐無稽な迷信であろう」と結んでいます。
物事を科学者の目で見れば、他人が現実に見聞きしたことや経験したことでも、科学的な裏付けがなければ迷信、でなければ偶然か錯覚と結論します。運不運をあらわす「つき」は誰でも経験することですが、科学的な裏付けはありません。でも「つき」の存在を疑う人は科学者にもいないでしょう。
建築家として、住居そのものを科学的に考えるのは当然ですが、「陰陽五行説」という哲学を基にする家相に科学的な裏付けを求めるのは、見ることも触れることもできない「気」の存在を証明しようとするのと同じで、天国や地獄の在りかを探すのに等しいことではないでしょうか。
家相を科学の目で見るというのは、これに無関心な人や迷信だと思っている人達に少しでも興味をもたせるための手段としてなら有用かも知れません。また、家相を信ずる人や関心を持っている人には自分の考えを科学的に補強できる利点もあるでしょうが、家相の大事な部分は「科学的に証明できない荒唐無稽な迷信」の中に紛れ込んでいるかも知れないのですから、一部の否定は家相全体を否定するのと同じで全くナンセンスと言うほかありません。家相の中にはもっともらしい鬼門から、畳数のような馬鹿げたものまで、数多くの迷信があるのは事実であり、家相と科学のドッキングも興味深いことですが、これを専門にする者にはどちらも迷惑以外の何物でもありません。
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