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私の相性論 
Vol.6

【運命論と気学】


 辞書によると運命とは「人の意志にかかわりなく、人に幸せや不幸を与える力」、運命論【哲】とは「すべてが運命の支配下にあって、人間の努力ではどうにもならないという考え方=宿命論」となっている。【哲】が付いているのは哲学という意味だから、私にはピンとこないが運命学も学問であるのだろう。

 世間で運命学といわれているのは気学を含めて七〜八種類位あるのではないかと思うが、そのうち気学を除けば全部と言っても過言でないほど、文字どおり運命論を基本にしている。勿論運命は言うまでもないことだが、運勢や性格などはすべて生まれつきで(生年月日や受胎日を基にした)生涯変わることはないという先天説(論)である。そのため相性も運命だから吉を凶に、凶を吉に変えることは人間の力では不可能ということになる。

 仮に運命を信じるとするなら、見合いの場合は相性が悪ければ事前に断ればすむことだから差し支えないが、そうではなく恋愛の場合は泣く泣く別れか、離婚覚悟で結婚する以外に道はない。既婚者ならば互いの短所を棚に上げ、すべてを相性の所為にして不仲な生活を続けながら運命を呪うことになる。上司と部下の場合は転勤願いを出すか退職するか、それともストレスを溜め込んで胃潰瘍になるか、それが運命だと言われれば全く救われない。この場合は相性のことだからそれで良いかもしれないが、命にかかわるような重大事も運命で片付けられたらたまったものではない。

 私が研究実践している「気学」はこのような運命論を採らず、後天説(作用)をベースにしており、そこから導き出された「理」を次に記す。

【気学の第一の理】運(命)は先天にあらず、後天にあり
 「運(命)というものは生まれつき(先天的に)決まっているものではなく、生まれた後に(後天的)自己の努力と責任で作っていくものである」。

 これを相性に当てはめれば、仲が良いか悪いか前以て決まっているわけではない。仲良くできるか否かはお互いの努力の結果であって、その責任は相性にあるのではなく各自にある、ということになる。なお、思想や性格は先天と後天の両方あるが、いずれも家相の影響によるものゆえ、詳細は機会を改める。

【気学の第二の理】吉凶は動より生じる
 「あることについて良かったか悪かったか、或いは現状が良いか悪いかなど、あらゆる禍福はすべて結果であってそれぞれに原因がある」。つまり、原因があれば必ずそれに伴う結果がある、哲学でいうところの因果律である。この場合の原因とは動のことで、その最大のものが移転の方位である。

 気学の真骨頂である【運命(勢)好転法】つまり方位・家相によって運命(勢)の転換を図ろうとするのはこの二つの理から成っている。従ってこれから結婚という場合は、お互いの家から見た新居の方位が重要で、既婚者の場合は移転方位に気をつけるべきである。

 離婚の理由で、犯罪、虐待、病気など、具体的なもの以外の原因を突き詰めていけば、大方は性格の不一致に突き当たるらしい。性格が合うから結婚したのに性格の不一致とは何か変だが、これは新居の方位や移転方位の間違いに気付かずにいた結果、年数を経るに従って自然に少しずつ性格の波長がづれて合わなくなったからである。これは夫婦のみならず、上司と部下や同僚間など、他人との関係についても同じことが言える。

 家相が原因となることもある。詳細は機会を改めるがその一端を紹介する。
後天的原因として、住居の中心より見て南30度の範囲に台所がある家に、5〜10年以上住み続けた場合は、家族間が不和合となって離婚の遠因となる場合がある。
先天的原因として、生まれた家で幼児期を過ごした人は、その家の家相なりの 独自の考え方(思想)が先天的に形成され、思想(性格の特異性)そのもの、 或いはそれによる行動が原因となって破綻することがある。

【気学の第三の理】万物は相剋より生じる
 あらゆる事物は孤立して存在するものではなく、必ず対になるものがあり、それが対立して変化を生じ、対立のないところに変化はないとする易の陰陽二元論に根差したものである。例えば、一枚の紙にも表(陽)と裏(陰)があり、電気は陰陽対立して熱を生じ光を発する。人間も女性(陰)と男性(陽)がいて子供が生まれるのである。

あとがき
 相性の現実、原理、いずれからみても、相性とは吉凶を云々するものではなく、生存競争の激しい現代に生き残るため、また潤いのある対人関係を築く為の方法を古人が教えているとしか考えられない。また、気学の理によってもしかりである。

 この考えに至り10余年、既婚者には主人(女房)操縦法、これから結婚する人にはさらに新居の方位を、上司には部下の使い方を、部下にはゴマの擦り方を?、経営者には配転や転勤など、「孫子」のお陰で相談者の多くにご理解を戴いている。

 この考えを少しでも多くの人に知って頂きたいと思い、現在も様々な活動を繰り返している。つい数年前のこと、自宅の吉相設計をしたビルのオーナーから週に一度、占いコーナーに協力してくれないかという話があった。しかし、客が喜ぶノウハウとテクニック中心の促成栽培の学校を出た、インスタントでタレントのような占い師と同列に見られるのは我慢ならないので丁重にお断りした。今でも正しい選択だったと思ってはいるが、私の相性論を広めるチャンスでもあったのにと思うと、少し残念な気もする。


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